酔山

詞・曲/綾香

うねる人波 鋒の群れ 外国人の香水避け
慣れない下駄と 安物の派手な浴衣に 靴づれの血

見知らぬ顔で埋まる街 いつもと違う河原町
知らぬ男のうでをとり 歩く都に 提燈の赤

わたがしもベビーカステラも金魚すくいも
すべてが馬鹿高い 大した意味はない

祭り囃子が聴こえてくる 誰彼構わず騒ぎ立てている
私は何故か悲しくなる 隣で知らない男が笑っている


あの日も同じこの道を あなたと二人歩いていた
蒸れる歩行者天国で 掴んだ白く汗ばんだ手

ちまき売る子の声高く 同級生の視線避け
雰囲気だけに犯される それでもいいと思えていた

たこ焼きもブルーハワイも下手な射的も
すべてが色濃かった あの日はもう来ない

祭り囃子は聴こえている よく似た背中を瞳で追っている
私は無下に切なくなる 気づけば一人ここに立っている

感覚のない足で歩く 祭りの出口を誰も知らない
ギオン祭りのカネの声 諸行無常の響きアリ